今日も鶏胸肉

食って 飲んで 泣け

“今日も鶏胸肉”

Kuri Adventuresさんの雪山登山講習に参加してきた

安かったのと足にぴったりだった勢いで冬靴を購入して以来
講習受けるべきかなあ、とかああでもないこうでもないと言いつついろいろな経験者の方にアドバイス頂きつつ、ある講習会の募集が目に止まりいろいろと比較検討の結果、登山を志す方なら一度はYouTubeで目にしたこともあると思われる?Kuri Adventuresさんの雪山登山講習に参加して参りました。

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結果、なかなかスパルタな講習内容で雪山の恐ろしさを少し味わってきました。

今回、講習を受けるのがメインなので写真が少なく、以下のリンク先の写真と想像力でなんとか補完しつつお読みください。

www.kuri-adventures.com

ちなみに今回重視していたのは
・アイゼンワーク云々より転ばない歩行技術
・「はーい滑ってくださーい!」「はーいできました〜!」ではない
・緊急時のビバーク訓練 

ここで募集ページの準備物にアイゼンがないことに気づきました、これはもしや……?

というわけで申し込みを済ませ、いざ当日。
本来なら越後湯沢での講習だったのですが積雪量が足りず、急遽谷川岳の天神平での講習に変更。今年四度目の谷川岳w

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今回の参加者は栗山先生含め15名、ロープウエイで天神平駅まで登り、近くの斜面に目星をつけます。

早速荷物置き場となるテントを設営し、サクッと昼食を済ませ11:00にまずは基礎的かつ登山全体に通用する歩行技術から講習開始。

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体重移動の基礎をはじめとして逆ハの字に足を置く歩行、スリーオクロック・ナインオクロック等の使い分け方、キックステップの使い所などを何度も皆で行います。
この時点で地道に歩行訓練しているのは我々だけでした、先生曰くアイゼンのあるなしよりも確実な歩行技術から、それはアイゼンはいた時にも通用する。とのことです。

そして初動停止技術の訓練、登りで滑った時の止まり方、下りで滑った時の止まり方、下りでつまづいた時の止まり方、などを何度も行います。とにかく転けた瞬間に止まる!滑る前に止まる!!

と、ここで参加者がペアになりお互いが用意した120cmスリングをカラビナでつなぎ、片方の方の足首にガースヒッチで繋ぎます。
先ほどまでは自分の「意志」で滑ったり転んだりでしたが、今度はペアの方がスリングを引っ張り、本人の意思が介在しない状態でコケさせようという訓練です(サイト参照
当然、登り中に滑る、下り中につまづく、下り中に滑るなどを行います。
いきなりこける、ここでピッケルをちゃんと使えるかどうか。
そして斜面で滑落した際のクロスボディポジションでの停止動作へと移っていき……

「遊びはここまでです」

先生がニヤリと笑い、ソリを準備し始めました。
急斜面をソリで滑って、スピードが乗った状態で実際に停止動作をするのです。

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これ、サイトだと楽しそうに滑ってる写真ですが実際は滑り出した瞬間から死ぬほど怖いです。アイゼン装着していなくても爪先が雪面に当たると盛大に転げますし、ピッケルへの体重の乗せ方が甘いと全然止まりません、何より滑る速度がのっけからやばい。

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中には停止できないどころか横向きに転がって行ってしまう方がいて、全員でヒヤリとする場面などもありました、無事でよかった……

この時点で15:00、停止技術は終了となりビバーク準備に。
本来であれば横穴式雪道を掘っていくのですが、積雪量が足りず急遽縦穴式雪洞に切り替えます。

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設営し切れなかった残念な図。
本題であればブロックをアーチ状に積んでいって、エマージェンシーシートを天井にするのですが私含め誰も完了することができず、壁とツエルトによるビバークとなりました。

IMG_7433.jpg写真では見えませんが、出口すぐ脇にスノーショベルを立ててあります。吹雪で入り口が塞がった際に脱出するためですね。
ツエルトの中はザックを置きマットを敷くといっぱいいっぱい。このスペースで最低限の食事をして寝られる時に寝ておきます。朝方は予報だと-8℃まで下がるとのことなので、寝られるうちにとにかく寝ておけ、と。この時点で午後18:00に就寝開始。

まあ、一睡もできなかったんですけどね。

予報以上に吹雪がひどく、「誰かがバーナーで一時間以上も火を使っているなあ、まさか暖房代わりか?」なんて思っていたら吹雪の音でした。
途中、先生が見回りに来てくださった時、ご自身のトレースがどんどん消えてしまうほどだったとか。

やまない吹雪、積もる雪、迫るツエルトの壁、雪をはたき落とす、結露降り注ぐ、だけではなくツエルトに接してしまった寝袋のジッパーから中へと浸水し始めてしまいました、外側は防水なのに。(それが自分の着てるダウンジャケットにも伝わってきた)
だんだんと寝袋の保温力が落ちているのが素人でもはっきりとわかり、「これやっべーなー」と思いつつ他の装備のチェックを始めたら靴の内部も浸水していました、最悪です。

と、ここで先生ナイスタイミングで見回り、濡れた靴をどうすればいいか聞いたところプラティパスか500ccのナルゲンにお湯(70℃くらい、手でギリギリつかめる熱さ、熱湯だと靴の糊が剥がれちゃう)を入れて突っ込め!とアドバイス頂きました、ナルゲンがあったので早速実行し、爪先以外はなんとか乾かせました。爪先も乾かせるように今度からはプラティパスを空でも準備するようにしよう……
で、お湯沸かしてたバーナーコケさせて寝袋に穴をあけてしまいました……
寝袋は帰宅して速攻でメーカーに送って補修依頼。

この時点で5:00、一同6:00から行動開始となりましたが色々と限界なので私は撤収開始、最悪は先生のテントに逃げ込めと結露で濡れたあれやこれやをザックに突っ込んで撤収完了。
ところが先生のテント、ポールが強風で折れてしまったそうで何気にピンチでした。

弱まってきた吹雪の中、なんとか停滞してても大丈夫そうだったのでテントの撤収を手伝いつつみなさんの撤収を待ちます。

結果として、二日目に予定していた雪上確保技術やビーコン捜索の講習は中止、ロープウエイ始発で下山することに。
始発前にレストラン側が空いているのを除雪車のおじさんに教えていただき避難、始発前のロープウエイ駅でようやく難を逃れました。

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私だけではなく、みなさんそれぞれ大変な思いをされたようで中にはツエルトが崩壊してエマージェンシーシートとツエルトにくるまって耐えられていた方もいたそうです。
ここでこの講習に参加してよかったと思いました、散々な思いではありましたがこのような目に遭わなければ「山をなめて」いた可能性もあると思うからです。

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リラックスして始発を待つ皆さんと雪山をはじめとした山のあれこれを雑談、色々と大変ためになるお話をして頂きました。顔にぼかしが無いのが栗山先生。

他の会社の講習をくさすわけではないですし、こちらはこちらでスパルタな内容なので合う合わないあると思いますが、個人的にはオススメの講習でした。
いきなり本格的に登らずに、しばらくは優しい山で歩行技術などもっと意識しつつ安全な雪山の日帰りをやっていこうと思います。
機会を見つけて横穴式雪洞も作っておきたいですね。